ブラッディ アリス
「お父様…こんな女…早く刑に処するべきですわ…」
強い恨みのこもった…娘の想い…。
「そうだな…このことを貴族界最高機関ゾディアックに提出すれば……そしてラソエラの遺産も私のものに…」
欲にまみれた汚い夫…。
もう目の前は逃れることのできない闇しかない…。
「ならば、公開処刑にしてください。民衆の前で、私を火あぶりにでもしてくださいな」
「…自分で志願したのか…だからゾディアックを通さず、ここまでできたわけね」
アリスは「はぁ」と小さくため息をついた。
本来、貴族の処刑となれば貴族界を統一する最高機関「ゾディアック」に報告し、そこで許可を得らなければならない。
しかし罪人が自ら受刑を志願した場合は、全て文書で報告すれば、機関を通さずとも可能になる。
「ゾディアックを通さなくていいことで、侯爵は楽にここまで進められた。…今日初めて処刑のことを聞いたとき、自分がこのことを知らないことが面白くてたまらなかったわ」
アリスはそう言うと、何かを思い出したように立ち上がった。