ブラッディ アリス
ⅩⅩⅤ
時刻は午後7時を過ぎた。
廊下にあった時計を見つめ、自分はどれほど寝ていたんだろうと、アリスは軽く舌打ちをする。
「着きました。この部屋に、リトルメラ侯爵と…あなたのお友達がいらっしゃいます」
大きな扉の両端には、スーツ姿の男が二人。
ラビはわざとらしく丁寧な振る舞いでアリスを招く。
「………」
無表情なスーツ姿の男たちは、ラビの合図でゆっくりと扉を開いた。
「……ラミア様…アンジェラを連れてまいりました…」
室内に入るなり、深く礼をするラビ。
アリスは少し顔を俯かせ、静かにラビについていく。
「やっと目が覚めたのね。…アンジェラ…」
大きなソファーに寝転がり、ニヤリと笑うラミア。
「…アンジェラ…!」
部屋の隅では、縛られたミルフィーユの三人が驚いた様子でアリスを見つめた。