ブラッディ アリス
「見つかりますよ!カイル王子!」
暗闇の中、小声で叫び、カイルの手を引っ張ったタウティ。
ミルフィーユに残っていたカイル、タウティ、ザリチェ、ノーカ、クレスタ、そしてオウルの六人は、スーツ姿の男たちから逃げ惑いながら、リトルメラ邸の正面までやってきたのだ。
「…アリス嬢と…リトルメラ侯爵がいますね…。…あと…リークさん。…ファルたちは…見当たりませんね…」
オウルは「ふぅ」と軽いため息をつく。
「……絶対ここにいるはず。…書斎に隠れてるのかな…」
ザリチェが少し移動し、書斎の方を見た。
「…どうする…?……このまま見つかれば、殺られて終わり」
カイルはしぶしぶ木の根元に腰掛け、タウティを見る。
「……恐らく…こんな状況になってしまった以上…他の子どもたちの命も危ない…」
タウティは腕を組み、真剣に考えている。
「…リリス家の人間が、他人の命を心配すんの?」
カイルがクククッと笑うと、タウティはムッとした表情でカイルに近づいた。
「…リリス家は昔と違います。…もちろん悪魔との関係は切れていないけど……でも…」