ブラッディ アリス
何かを言おうとしたタウティだったが、その後はカイルから目を逸らし、悔しそうな表情を見せただけだった。
「………色々あるんだ…?…」
カイルはタウティの顔を見上げながら、フッと鼻で笑い、ラビに渡された眼鏡に触れる。
「…だよね……。…人間なんだから……」
そんな二人の様子を黙って見ていたオウルは、ゆっくり二人に近づき問いかけた。
「…王子は、どれくらい戦えます?…タウティは…それなりの能力があるでしょうが…」
「……僕とザリチェは…能力と言っても…」
「僕はこのダガー二本さえあれば、ある程度いけるよ」
カイルは隠してあったダガーを見せる。
「私と兄さんの能力は、火があれば活かせるわ。…だから…ここを燃やすっていうのは…どうかな?」
ふいに現れたザリチェが、タウティの横に寄り添う。
「…他の子どもたちはどうすんの?…この施設から出さないと…」
カイルが自分の腕でダガーの切れ味を確かめる。
「……どれくらいの人数がいるのか…知っていますか?…タウティ」