ブラッディ アリス
「私…だいたいわかるわ…。よく遊びに行ってるから…」
少し離れたところに座っていたはずのノーカが、恐る恐る会話に加わった。
「…一ヶ月前の『特別授業』で、けっこう減ってはいたけど…その後も増えていって……今は…たぶん…600人くらいかな……」
「…なっ…」
「そんなに…?!」
驚くカイルとオウル…、その横で難しい顔をしたタウティとザリチェ…。
「容易ではないよ。むしろ全員脱出なんて不可能に近い…」
「この施設の周りを囲った塀には、黒魔術がかけられてる…。だから塀を越えていくのも無理よ」
「同じ魔術師なら、その魔術を解けないのか?」
心配そうな表情で会話に加わってきたクレスタが、タウティに尋ねる。
「僕らは魔術師ではないよ。…それに…黒魔術を解けるのは…マリア家の直系のように、白魔術が使えた人間の守護霊を持つ人だけ…」
タウティは悲しげな表情で微笑むと、クレスタを抱き寄せた。
「ごめんね。クレスタ…。大事な君を、巻き込みたくはなかったのに…」
「……タウティ……」