ブラッディ アリス
ゆっくりと目を開けた…ベッドに横たわる美少年。
「……お前が……ジャックか……」
少年は、自分を見下ろすジャックの瞳をじっと見つめる。
「…初めまして…ですね。……『眠りねずみ』…」
「……ずっと声は聴こえていた…。……とりあえず自由になるために、この少年を操り…あの女を喰おうと思ったんだけど……」
「彼女はダメですよ。マリア家の直系ですし、あのアベル家の当主です。そして…私のものです」
ジャックはにっこりと笑い、コツコツと室内を歩き始めた。
「…本気か?…本気でアベル家と交わるつもりか…?」
「交わる…では無く、絶えさせるのですよ…。…だってアベル家の血筋は…彼女しかいないんですから…」
窓の外を見つめながら、不気味な笑みを浮かべるジャック。
「…彼女が私の子どもを産めば、そこでアベル家一族は絶滅です」