ブラッディ アリス
Ⅷ
アリスが部屋へ戻ると、すでにラビとカイルが待っていた。
「おかえり、ラビ。あれは?」
「厨房の冷蔵庫を借りたよ」
ラビは領収書をアリスに渡す。
「カイル…意外と早く解放されたのね」
「明日早いから、もう寝るんだってさ…。とりあえず疲れたよ…」
カイルはあくびをしながらベッドに仰向けになる。
アリスはクスクスと笑いながら椅子に座った。
「…シャルル夫人に聞いてきたわ…全部」
アリスの言葉にカイルは顔だけをアリスに向ける。
「…とりあえず…若干計画は変更ね…。キオネを妬かせるよりも、侯爵を脅す方が早いわ…。それに…もうカイル王子とキオネ嬢は…いい感じにできあがってるし…」
「…でも君のことを気にしてるよ。彼女は」
カイルがゆっくりと体を起こす。
「そりゃねぇ…。私とカイルのこと…愛人同士かなんかだと思ってるんでしょ?」
「さすがアリス。わかってた?」
「あんなこと言われれば誰だってわかるわ」
アリスは食事の前のキオネの発言を思い出していた。