ブラッディ アリス



床にうつ伏せになりながら、やっとのことで布を剥ぎ取ったラミアが、低い声を震わせ、ジャックへ問いかけた。


「…ラミア……あなたは本当に無知な方でした…。…新聞もニュースも…まるで興味ない…。…あるのは『強欲』だけ。……まぁ、仕方ありませんね。…ここと同じような場所で育ったあなたに、もちろんアリス嬢の相手は無理ですし……」


冷たい表情でラミアを睨むジャック…。

信じがたいジャックの言葉に、ラミアは涙を浮かべる。


「…ど……どういう…?…」


「もう、用済みです。この数ヶ月間、あなたは良い働きをしてくださいました。おかげで大量の純粋な血液を手に入れることができました。感謝します」


ジャックの口から棒読みで放たれた…そのセリフを聞いた瞬間、ラミアの瞳から大粒の涙がこぼれた。



「……う……うそぉ……せっかく…手に入れた……し…あ…わせ……」


ラミアの涙と同じくらい、ラミアの足からは真っ赤な血液が流れ出る。



「…さて……ラビット……、そろそろ解放してくれないかな?……貴族に何かあると、君のお姫様の機嫌が悪くなるんじゃない?…」

ジャックはゆっくりと振り返り、ラビに笑顔を向ける。



「……………」

ラビは無言で拳銃を下ろすと、微かなため息をついた。




< 482 / 657 >

この作品をシェア

pagetop