ブラッディ アリス
床にうつ伏せになりながら、やっとのことで布を剥ぎ取ったラミアが、低い声を震わせ、ジャックへ問いかけた。
「…ラミア……あなたは本当に無知な方でした…。…新聞もニュースも…まるで興味ない…。…あるのは『強欲』だけ。……まぁ、仕方ありませんね。…ここと同じような場所で育ったあなたに、もちろんアリス嬢の相手は無理ですし……」
冷たい表情でラミアを睨むジャック…。
信じがたいジャックの言葉に、ラミアは涙を浮かべる。
「…ど……どういう…?…」
「もう、用済みです。この数ヶ月間、あなたは良い働きをしてくださいました。おかげで大量の純粋な血液を手に入れることができました。感謝します」
ジャックの口から棒読みで放たれた…そのセリフを聞いた瞬間、ラミアの瞳から大粒の涙がこぼれた。
「……う……うそぉ……せっかく…手に入れた……し…あ…わせ……」
ラミアの涙と同じくらい、ラミアの足からは真っ赤な血液が流れ出る。
「…さて……ラビット……、そろそろ解放してくれないかな?……貴族に何かあると、君のお姫様の機嫌が悪くなるんじゃない?…」
ジャックはゆっくりと振り返り、ラビに笑顔を向ける。
「……………」
ラビは無言で拳銃を下ろすと、微かなため息をついた。