ブラッディ アリス




だんだんと煙が濃くなっていく室内…。

扉の向こうで、炎が大きくなっているのがわかる…。



「………ジャックさん…リークさん……オウル……」



しばらくしゃがみこんでいたロビンが、突然立ち上がり口を開いた。


「…お願い……。ファルとクロウを連れて行ってください…。…姉は…カナリィは…僕が救います……」


ロビンの言葉を聞いたオウルは、慌ててロビンに駆け寄る。


「……ロビン…大丈夫か…?」

「…大丈夫だよ。……大丈夫…。…もう…全部終わらせるから……」


ロビンはそう言ってフラフラとガラス張りの部屋へ入って行く。



「…ロビン…!」

「オウル様、あなたは仮にもデルデ家の御曹司…。ここは任せて、早く外に出てください…」

ガラス張りの部屋へ入ろうとしたオウルの腕を、強い力で引っ張るラビ。

「…でも…!」

「…アリス様にも言われたはずです。…早く逃げた方がいい…」

鋭い目つきでオウルを見つめた後、ラビはガラス張りの部屋へと入った。

「…僕もそう思うよ…」

ジャックもオウルに微笑みかけ、ラビの後を行く…。



「………くっ……」

自分の非力さに、オウルは唇をかみ締める…。



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