ブラッディ アリス
ラビに案内されながら、アリスは暗い森の中を進む。
灯り一つないおかげで、夜空は無数の星々で埋め尽くされ、月明かりがやけに眩しい…。
「…カイルの話は本当かしら…?…」
「……黒魔術を解ける…というお話ですか?」
「…そう…。…そんな話…母様にもルナリア伯母様にも……教えてもらったことがない…」
アリスは今までのさまざまな記憶を引き出したが、そんな知識には全く触れたことがなかった。
「…アリス様の人生には、必要がない知識だと思われていたのでは?」
「…だとしても…、…黒魔術…白魔術……ありとあらゆる本を読んだわ…。…でも…そんなのどこにも書いてなかった…」
…黒魔術は…永遠に解けない…。
どの書物にも、そう書いてあったのに…。