ブラッディ アリス
「…キオネ…」
そう囁きながら、侯爵はキオネの中に入ろうとする。
「あ…お父様…」
ゆっくりと腰を動かしながら、キオネは侯爵を受け入れる。
「…んん…」
そして二人が口付けを交わした瞬間…。
カシャ…!
一つのシャッター音と共に、一瞬の閃光が二人を照らした。
「!?」
侯爵とキオネは慌てて体を離す。
「…い…今のは…?」
青ざめた表情でドアを見つめる侯爵…。
「使用人たちは皆、隣の別館にいるはずですわ…。だとすると…」
素早くローブを身にまとい、キオネは恐る恐るドアを開けた。
「だ…誰かいるか…?」
廊下を覗くキオネの後ろから問いかけながら、侯爵もローブを身にまとう。
「誰もいませんわ。私…ちょっと見てきます。お父様はここにいらして」
キオネはそう言うと、月明かりに照らされた廊下へと出て行った。