ブラッディ アリス

「…キオネ…」

そう囁きながら、侯爵はキオネの中に入ろうとする。

「あ…お父様…」

ゆっくりと腰を動かしながら、キオネは侯爵を受け入れる。

「…んん…」

そして二人が口付けを交わした瞬間…。



カシャ…!



一つのシャッター音と共に、一瞬の閃光が二人を照らした。



「!?」

侯爵とキオネは慌てて体を離す。

「…い…今のは…?」
青ざめた表情でドアを見つめる侯爵…。
「使用人たちは皆、隣の別館にいるはずですわ…。だとすると…」
素早くローブを身にまとい、キオネは恐る恐るドアを開けた。

「だ…誰かいるか…?」
廊下を覗くキオネの後ろから問いかけながら、侯爵もローブを身にまとう。

「誰もいませんわ。私…ちょっと見てきます。お父様はここにいらして」

キオネはそう言うと、月明かりに照らされた廊下へと出て行った。






< 50 / 657 >

この作品をシェア

pagetop