ブラッディ アリス
「……やっぱり…しゃべったのね…あの女」
キオネは呟きながら、物音をたてずに歩いて行く。
向かった先は、もちろんアリスの部屋だった。
「…」
ゆっくりとアリスの部屋の扉に隙間をつくるキオネ。
そして目を大きく見開いて中を覗く。
目に映ったのは、寝息をたてながらベッドの上で眠るアリスの姿。
「…?…寝てるわ…。…じゃあまさか…」
まさか…王子が…?
そう思った瞬間、床に散らばってる服に気づいたキオネは、もう一度ベッドを見直した。
「…!」
ちょうど寝返りをうち、仰向けになったアリスの横…。
うつろな目で、アリスの体に腕をまわすカイルがいる。
「……っ!!!!」
声にならない悲鳴をあげて、キオネはすぐさま侯爵の部屋へ戻っていった。
「…ふ…。執事の存在を忘れてるよ。白雪姫」
扉の陰にいたラビは、静かに扉を閉めた後、クスクスと笑うアリスにそっと、ケータイを
手渡した。