ブラッディ アリス
Ⅹ
朝6時、鐘の音が遠く響く。
窓から差し込む陽の光が、外の明るさを表す。
ゆっくりと瞼を開けると…そこにはカイルの寝顔と、自分に絡みつくラビの腕。
「…もう朝…?」
アリスは目を擦りながら起き上がる。
「おはよう、アリス。侯爵と白雪姫はもう起きてるみたいだよ」
「あら…ラビ…早いのね…。……鐘の音…?…あぁ…シャルル夫人が広場に向かう合図ね…」
そう言ってあくびをした後、アリスはカイルの体を揺する。
「ふ…?ん…。…朝か…」
腕を伸ばし、目を開けるカイル。
「…アリスと寝たせいで…ラビに殺される夢を見たよ…」
「なに言ってるの?私はカイルと寝たせいで、キオネに殺されるの決定よ」
アリスはラビの体をまたがりベッドから降りようとする。
「殺されに行くんだろ?自分から」
自分をまたぐアリスの腕を引っ張り、ニヤリと笑うラビ。
「あはは…むしろ殺しに行くのよ」
そう言って笑いながらラビに抱きつくアリスは、普通にしていれば何の変哲もない少女なのに…。
兎の穴は日に日に深く、兎の罠は日に日に大きくなっていく。