ブラッディ アリス
「…わっ……ミカエルの軍事ヘリ…!」
ヘリポートに辿り着いたアリスは、思わずミカエルがいないかと警戒する。
「……大丈夫だよ…。今、ミカエルはラビの案内で『スイーツホーム』の地下を視察してるはずだから…」
「……ふぅん…!…だからラビの姿が無かったのね…」
アリスはカルサが用意してくれたヘリコプターを触りながら、そばにいた整備士に声をかける。
「悪いけど、ちょっと借りるわね」
「…ア…アベル公爵様……自らパイロットを…?」
「もちろん。…私を誰だと思っているの?」
そう言いながら、アリスはカルサからヘルメットを受け取った。
「…いつ帰ってくる…?」
カルサは不安げな表情を浮かべ、アリスの手にそっと触れる。
「…気が済んだら…戻るわ。……ラビとカイルには、先にアリエスへ帰るように伝えて」
「……アリス……本当に…」
「大丈夫。…リリス邸には幼い頃から行ってるから…。ちゃんと戻ってくるわ」
アリスはカルサの肩を思い切り叩くと、ウインクをしてヘリコプターに乗り込んだ。