ブラッディ アリス






…ラピスラズリ邸の5階…。


カルサが用意してくれたスーツを身に纏ったカイルは、アリスの乗ったヘリコプターが空に昇っていくのを、じっと窓から見つめていた。




「……やっぱ…言わなきゃよかった……」




カイルがアリスに想いを告げたあの瞬間、アリスはまるで初めて出合った物を見るような目でカイルを見ていた。



その後、カイルから逃れるように起き上がり、アリスはそのまま部屋を出て行ってしまったのだ…。




「………テーブルに置いてあったのに……ケータイも拳銃も…置いて行ってしまった…」



カイルは胸を押さえながら、ゆっくりとベッドに座った。




「……やべぇ……。…ラビに殺される…かも…」


ははは…と、気の抜けた笑い声が部屋に響く。




「…その前に死ぬかも……。…アリスに嫌われたら…生きていけない…」





そのままベッドに寝転んだカイルは、胸ポケットからケータイを取り出す。





「……メール……ハインリヒから…」








件名:緊急です。


本文:シンデレラ妃がご懐妊されました。

    さて…誰の御子でしょうか?






< 528 / 657 >

この作品をシェア

pagetop