ブラッディ アリス





「もしかして、恋にお悩みかしらぁ?」





「…………え………?」






突然、甲高い声がアリスの耳元で響く。


…左の視界に入った黒い物体…。


アリスはゆっくりと目線を左に移す。




「…お久しぶりねぇ。…アリス・アベルお嬢様」



「……カーネ…!…」




いつのまにか隣の操縦席に座っていたのは、真っ黒でフリフリのビスチェドレスを着た少女。

真っ黒な巻き毛をを二つに縛り、真っ黒に塗られた長い爪を自慢げに見せる。



「…コキア様から丁重にお迎えしなさいって言われたのよぉ。…あなた…リリス邸が移ったの…ご存じないでしょ?」




この少女の名前はカーネーション。

リリス家専属執事のうちの一人で…生まれながらの魔女である。





< 531 / 657 >

この作品をシェア

pagetop