ブラッディ アリス
「もしかして、恋にお悩みかしらぁ?」
「…………え………?」
突然、甲高い声がアリスの耳元で響く。
…左の視界に入った黒い物体…。
アリスはゆっくりと目線を左に移す。
「…お久しぶりねぇ。…アリス・アベルお嬢様」
「……カーネ…!…」
いつのまにか隣の操縦席に座っていたのは、真っ黒でフリフリのビスチェドレスを着た少女。
真っ黒な巻き毛をを二つに縛り、真っ黒に塗られた長い爪を自慢げに見せる。
「…コキア様から丁重にお迎えしなさいって言われたのよぉ。…あなた…リリス邸が移ったの…ご存じないでしょ?」
この少女の名前はカーネーション。
リリス家専属執事のうちの一人で…生まれながらの魔女である。