ブラッディ アリス
…悪魔に支配された国『オフィユクス』…。
一つの島国を暗黒世界へと導いたのが、この世界で二番目に成り立ったとされる貴族…リリス家である。
「うぅう……子どもの血を集めて…悪魔の力を得る…。ぜんぜん理解できねぇよ…」
アリスがオフィユクスに向かってるとは露知らず、『スイーツホーム跡地』の地下ではミカエルが頭を抱えて唸っていた。
「リリス家の行儀を見るのは初めてですか?ミカエル様」
ミカエルの様子を伺いながらクスクスと笑うラビ。
そんなラビの態度にムッとしながら、ミカエルは顔を上げる。
「本とかでは読んだことあるけど…。ってかこんな生(ナマ)の状況、普通に生きてて見る機会ないだろ…」
「…そうですね。……ですが、さすがミカエル様…。戦場に自ら赴き、実務を為しているだけはあります」
「…あ?……どういう意味?…」
スイーツホーム跡地の地下…そこに散乱された、殺された無数の子どもたちの死体…。
床に飛び散った内臓や骨、皮膚、眼球、髪の毛、脳みそ…。
室内に充満する吐き気がするほどの血の臭い。
「…こんな残虐な光景をご覧になっても、平気でいらっしゃる…。…やはり戦場とは…こんな感じなんですか?」