ブラッディ アリス
「さて、時間まで新聞でも読みましょうか」
食事を終えたアリスは、部屋の隅で待機しているメイドに新聞を持ってくるよう伝えた。
自分の言葉に返答のないアリスを醒めた目で見たカイルは、しぶしぶ食事を済ます。
「見て、カイル。ばっちり新聞に載ってるわ…私たち。アンディビッヒがさらに怒りそう…」
メイドの持ってきた新聞を、アリスは真剣に読み始める。
「呪われた…ラソエラ…。公開処刑を承諾したゾディアックは何を考えているのか……」
「ホント、誰が文書を受け取ったんだろうな?」
「知らないわよ。…もう。そこもキオネに聞かなきゃね。…ん?」
メディアも大きく取り上げている今回の処刑。
一面に書かれたベルアベスタ家とラソエラ家の記事…。
その片隅に小さく書かれた見出しに、アリスは目を留めた。
「…執事の処分は?…」
そういえば、キオネが雇った例の執事は今どこにいるんだろう…。
「…キオネが…匿ってるはずだけど…どうするつもりかしら?…逃亡ってことになったら指名手配よね。全部バレたら…」
そう言いかけたアリスは、昨夜シャルル夫人が言っていたことを思い出した。
「…処刑まで…あと2時間弱ってとこ?…」
「どうした?」
アリスは新聞をテーブルに置いて立ち上がる。
「行くわよ。カイル。…あ!ラビ!」
ちょうど戻ってきたラビに駆け寄るアリス。
「車を出して。広場に向かうわ!」
「もう行くのか?まだ時間が…」
ケータイをいじりながら、ラビは不思議そうにアリスを見つめた。
「車、とめる場所なくなっちゃうわよ?」