ブラッディ アリス




アリスはコキアから目を逸らし、フッと鼻で笑った。



「……今日の目的は……『過去の間』ですわ…。……もう一度見直したいの…。この戦いの…始まりを……」



目線を戻し、まっすぐにコキアの瞳を見るアリス。




「…わかっているよ…。…気の済むまで…部屋を使うといい…。……食事は用意させる…」


コキアは優しく微笑むと、カーネーションに合図を送る。



「……ご案内するわぁ。……城に移ってから『過去の間』も広くなったのよぉ」

カーネーションは嬉しそうにニヤリと笑って見せ、コツコツと歩き出した。



「…申し訳…ないですわ……」


「……気にしなくていい…。…頼ってくれて嬉しいよ…。…私は……アベル家が一番好きだ……」




悪魔と繋がりを持つリリス家の、当主とは思えないほど優しい顔をしたコキア。


そんな彼女が初めてだった。

リリス家の当主になり、「むやみに人を殺してはならない」と悪魔に謳ったのは…。



< 540 / 657 >

この作品をシェア

pagetop