ブラッディ アリス




静かに開いた扉の先には、不思議な香りが漂う…。



「……何かあったら…このベルを鳴らしてねぇ。…部屋は自由に使っていいわぁ…」


アリスは部屋の中に入り、天井を見上げた。


「…ありがとうございますわ…。……代償は…」


「…ふふ…。あとでリリがもらいに来るはずよぉ。…じゃぁ…ごゆっくりぃ♪」



そう言って、カーネーションはさっさと部屋を出て行った。



「……やっぱり警戒されてるわね…。…黒魔術を解いてしまったから…」

アリスはため息をつくと、ベッドルームへと移動した。


「…ラビは戻ったかしら…」

大きなベッドに横たわるアリス…。


見上げた天井には、無数の蝋燭が逆さまになって火を灯している。




…ここは…『過去の間』。

その名のとおり、過去を見ることができる部屋。


アリスはもう一度、穴に落ちた『始まり』を見つめ直すために、このオフィユクスへとやってきたのだ。









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