ブラッディ アリス
いつもは静かなストレイズ殿広場も、今日は朝から騒がしかった。
青空を背景に、ストレイズ神殿が聳え立つ。
すでに場内にはマスコミが待機。
組み立てられた処刑台の前には、何台ものカメラが設置されている。
少し離れたところにある駐車場にラビは車を停め、三人は神殿に向かった。
「アベル家当主、アリス・アベルです。ベルアベスタには許可をもらっております。通してくださいませ」
門番役の司祭二人にアリスは身分証を見せる。
「アベル公爵様ですか…少々お待ちください」
司祭の内一人が身分証をチェックすると、目をカイルとラビに向けた。
「そちらは…」
「こちらは私の執事であるラビット、そして王家代表…第四王子カイルですわ」
アリスがそう言うと、二人も身分証を見せる。
カイルの身分証を見るなり、司祭たちは少し焦ったように門を開けた。
「ごくろうさま」
カイルは司祭たちにウインクすると、堂々と中へ入る。
「…なんか…腹立つわね…」
その様子を見ていたアリスは、ブツブツ言いながらカイルの後をついて行く。
その後ろでクスクスと笑うラビも、司祭に一礼をして中へと向かった。