ブラッディ アリス
「…はぁ?!……会って数分で承認…?……何考えてんだよ…」
その頃アリスは一人、アリエス城を訪れていた。
隔離されたように城の一番端にある…親友カイル王子の部屋。
そこは側近のハインリヒと、ほんのわずかな使用人しか近づかない。
「だって…お母様がわざわざ依頼状を送った人間よ?……しかも、兎の耳付きで」
アリスはツンとした様子で、ハインリヒの淹れた紅茶を飲む。
「…まぁ……リナリア様が言ってた奴に…間違いないんだろうけどさ…」
カイルを信用しているアリスは、カイルにだけは母リナリアとのことを話していた。
「……私の意に反するようであれば、殺すのみ。……恐らく…貴族の残虐さなんて知らないでしょうけど…」
アリスはゆっくりとソファーに横になる。
「なぁんか…普通の執事って感じなのよね……。…あんなのがどうやって…私を導いてくれるのかしら…」
机に向かって書類を眺めているカイルを、アリスは虚ろな瞳で見つめる…。
「…寝るんならベッドで寝なよ…アリス…」
「……いいの……ちょっと寝たら帰るから……起こして…」
カイルのそばは、安らげる一番の空間…だった。
…ラビが現れるまでは…。