ブラッディ アリス
自慢げに言ったサクラランの言葉を、アマリリスは慌てて遮った。
「……別世界……?」
アリスの腕には、金色の注射器が近づいていく。
「そうです。アベル家当主なら、ご存知かと…」
アマリリスは慣れた手つきで、注射器の針を皮膚にプツリと刺す。
「リリス家とマリア家の人間が導けるってゆー…あの?」
アリスは管を通っていく自分の血を見つめた。
「そう!あんまり信じてる人はいないけど…行けるんだよ!」
サクラランがまた自慢げに話し出す。
「ララが行ってるのは…なんとなくこっちと似てる世界…。でも…」
「こぉら!言っちゃダメだって!」
そしてまた、アマリリスに止められる。
「…ふーん…まぁあんまり信じてないし、興味もないけど」
冷めた表情でサクラランを見下ろすアリス。
「えぇ?!…アリスちゃんなら興味持つと思ったのになぁ…」
ガッカリした様子で、ベッドにゴロンと横になるサクララン。
「アリス嬢は当主になって忙しいんだよ。今はご自身のことで精一杯なんだからぁ…」
カチャカチャと道具を片付けながら、アマリリスは軽くため息をついた。