ブラッディ アリス
「…って言われてもね…。私はやらないわよ…」
アリスは食事を再開する。
「……このままバランスが崩れ…儀式の効果を維持できなくなれば……儀式を受けた人々は…暴走します…」
「………暴走…?」
「儀式を受けた人たちは、悪魔に近づいた未熟な肉体を持ってるってことになるの。…それが自分の意思で動かせなくなって、モンスター化しちゃう」
…カチャーン…
二人の言葉を聞いたアリスの手から、金色のフォークが皿に落ちた。
「…つまり……人格を失い、人を襲う場合もある…ってこと…?」
アリスは真剣な表情で二人を睨む。
「いいえ……自らの生命維持のため、本能的に『人間』を喰います。……魔力の高い悪魔のように、嗜好物として上品に生き血だけ吸うことはできませんから…」
アマリリスがサッと目をそらし、俯いた。
「……じゃ……『不死の儀式』を受ける者を増やさなきゃいけないの…?」
アリスの顔が、徐々に青ざめる。
「…ううん…。…ずっと昔にも、今とは逆で、『不死の儀式』をする人が多くて…バランスが崩れそうになったことがあったみたいなの…。そのときにね、不本意ではあるけど、『白魔術』を使えるマリア家に相談したんだって」