ブラッディ アリス



「…ああ……だから…なんか見たことあるなぁ…と思ったんだ…」


アリスはふっと力が抜けたように、ソファーに座り込んだ。




「………え?…見る機会はないはずだよ…。コキア様は自室に保管していて、身につけているわけじゃないし…」

「…リリたちでさえ、滅多に見ることはできない物…です…」

「…え?…え?」

二人の言葉に、アリスは混乱した様子を見せる。


「……マリア家で…見たのかな…?」

サクラランが不穏な空気を読んで、笑顔をつくる。



「……いや…違う……。最近見たのよ…。ものすごく身近なところで…」

アリスはなんとか思い出そうと、ぐっと瞼を閉じる…。


しかしすぐに目を見開き、パッと二人を見つめた。


「…え?…マリア家?……マリア家にも同じ物があるの?」


「そう…です…。マリア家には金色の懐中時計が…。二つの懐中時計が存在しないと、その効果は無く、リリス家の悪用を防ぐために…一つはマリア家にあるんです」




…金色の…懐中時計…。




アリスの脳裏に、ふわっと広がった記憶の1ページ…。






「……違う…。…見たことあるのは…金色の方よ…」




…そう…あれは…たしか…。








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