ブラッディ アリス
Ⅷ
……ドクンッ……
「……私に託してくれてたんだ……ザリチェは…」
ドクンドクンと大きく音を立てる…アリスの心臓。
リリス邸…『過去の間』の、天井に逆さまに立てられた無数の蝋燭の火が不気味にゆらぐ。
「ザリチェの手紙には……『リーク』という執事から懐中時計を取り戻したと書いていました。…その後に届いた…最後の手紙には…『アリス嬢に渡した』って…」
アマリリスは困惑した様子を見せる。
「…その『リーク』は、ラビの使っていた偽名よ。ラミア…リトルメラ侯爵の執事として、あの施設に潜入していたの…」
「じゃあ、ザリチェは取り返したのに、また取られちゃったってこと…?アリスちゃんの執事は、もともと懐中時計を二つ持ってたってこと?ドクター・ラマツの仲間ってこと?!…」
サクラランが恐ろしいほどに瞳を大きく見開き、アリスに問い詰める。
「…そ……それは…」
…アリスの頭の片隅で…ずっと疑問に思っていること…。
『兎は…敵か…それとも味方か…』
「……や…違う…!……関係…ないっ…」
…ワタシ…ハ…
…タダ…
…リヨウ…シテイル…ダケ…