ブラッディ アリス
「うるさいよーっ」
「ララのせいでしょ!」
悪魔たちがざわめく廊下の壁を、小さな二人が睨みつける。
真っ黒い壁には複数の目玉がギョロギョロと動き、時に大きな口や手がチラチラと現れては消える…。
しかし数秒後、その悪魔たちの気配が一瞬にして皆無になった。
「…ここにいたのか…二人とも…」
廊下の先から、カツンカツンと近づいてくる人影…。
「…ラナンキュラス!」
アマリリスがそう叫んだと同時に、暗闇から現れたのは黒髪で長身の男性。
ラナンキュラス…彼もまた、コキアの専属執事である。
「…ラナが来たから…悪魔たち消えたんだ…」
「ラナは恐いもんね…ふふっ」
「…お前たちは悪魔にナメられすぎだ」
クスクス笑うサクラランと、ラナンキュラスの一言に不服そうな顔のアマリリス…。
ラナンキュラスは無表情で軽くため息をつき、二人の頭を優しく撫でた。