ブラッディ アリス
「行くぞ。コキア様がお呼びだ」
「…え?」
「何かあったの?」
小さな二人を同時に、ラナンキュラスは両手でヒョイと持ち上げる。
二人は不思議そうな顔をして、間近にあるラナンキュラスの顔を見つめた。
「………」
ラナンキュラスは二人を抱えて歩き出す…。
「…サジタリウスで…大量の子どもが生贄に捧げられた…。…ドクター・ラマツの真の目的が果たされるまではいかなかったようだが…一体の悪魔が、一人の少年の体に呼ばれた…」
「えっ…?!」
「……それが誰かわかったの?」
「…ああ………」
ただ真っ直ぐ前を見て進んでいくラナンキュラスの次の言葉を、小さな二人が不安げな表情を浮かべて待つ…。
「…鳥の知識と鳥の言語……それに限らず、世界各国の言語、動物たちの言語…波の音が語る意味まで…すべての言語に通ずる賢才の魔鳥(つぐみ)……」
「……賢才の…つぐみ…」
サクラランとアマリリスが同時に目を合わせた。
「…カイム様…」