ブラッディ アリス
「まぁ…アリスが『儀式の効果』と言ってしまった時点で、ダメだと思うけどね…」
「…ふん…。あっ…そうだわ!司教!ベルアベスタ侯爵はどこにいるの?!」
アリスは自分のミスを誤魔化すように慌てて司教にしがみついた。
「侯爵方は客間で休んでいらっしゃいますよ。ご案内いたしますか?」
クスクスと笑いながら司教はラビに握られた右手を撫でる。
その言葉を聞いたアリスは少し考えた後、まっすぐ司教を見上げた。
「…いえ…受刑者…シャルル夫人のところに案内してちょうだい!」
「アリス嬢もご存知のとおり…『関係者』以外が、神殿内で受刑者との面会をするのは禁じられています」
司教は申し訳なさそうな顔でアリスを見つめる。
「司教…」
アリスは唖然とした表情で、司教の服を掴んでいた手を離す。
「ですが、貴族界『サラマンドラ』であるアベル家当主なら、許可せざるを得ませんね。今回は貴族の処刑ですから…アリス嬢は『関係者』に入ります」
そう言うと司教は優しく微笑んだ。
「申し訳ありませんが、執事の方と…そして…カイル王子殿下は許可できません」
その言葉を聞いたカイルは若干ムッとした表情でアリスの頭を撫でた。
「一人で大丈夫か?アリス」
アリスは自分の頭を撫でるカイルの手首を掴む。
「当たり前でしょう?気持ち悪いこと言わないでよ」
「…ふっ」
カイルは鼻で笑った後、司教を睨むラビの肩をポンッと叩いた。