ブラッディ アリス
「…ラビ…!…ラビット!!…」
ラビットの名前を叫びながら螺旋階段を駆け下りるアリスは、傷ついた左腕をグッと手で押さえていた。
「おはようございます…アリス様。昨晩はお帰りが遅かったようですね。連絡をくだされば…私が迎えに……」
いそいそとテーブルの上に薔薇を飾って、笑顔で振り返ったラビの目が左腕を凝視した。
「…血…!」
ラビは慌ててテーブルに用意された真っ白なナフキンを持って膝をつき、アリスの腕をつたう血を拭う。
「……医療箱…!……たしか隣の部屋でしたよね?!」
「…もういいわ……下手なお芝居はやめてちょうだい…」
「………え?…」
ラビは目を見開き、恐る恐る…といったような感じで、アリスの顔を下から見上げた。
「……この傷はナナリにやられたの…たった今…。……私を殺そうとして…」
…ラビの目に入ってきたのは…かすかに潤んでいるようなアリスの青い瞳…。