ブラッディ アリス
アリスはラビの胸倉を両手で掴むと、怒りに満ち満ちた形相でラビを睨みつけた。
「ナナリに何をしたっ?!!」
ラビのシャツをぎゅっと握り締めた真っ赤な手が、ぶるぶると震えている。
「…………」
…じっとアリスを見つめるラビ…。
歯を食いしばり、ラビの言葉を待つアリス。
「………まずは……止血をしましょう…。…血だらけですよ…。…早めに洗濯しないと…落ちなくなります……。あなたの下着も、僕の服も…」
先ほどまで焦っていた様子のラビが、驚くほど冷静に言い放つ…。
「…あなたはもっと冷静でいられる人間だと思っていました…。……仮にもアベル家の当主でいらっしゃいますので…」
「………!」
ラビは自分の胸元にあるアリスの手をゆっくりと離すと、すぐさま後ろを振り向き廊下へと出て行った。
「…ナナリ……どうして…」
ぎゅっと拳を握り締めるアリスは俯いたまま…寝起きの下着姿で、その場に座り込んだ…。