ブラッディ アリス
「とりあえず止血はしました。…寝室でもう一度ちゃんとした処置をします。部屋に戻っていてください」
ラビは手早くアリスの腕に包帯を巻く。
「…ナナリに…」
「それはお部屋で。…ちゃんとお答えしますよ」
「………」
…自分より…免許や資格、経験を持つ男…。
…自分より…腕力もある…身長も高い…。
彼に勝るものは何か。
自分が彼より勝っているものは何か…。
アリスの頭の中で、リナリアのある言葉が浮かんだ。
『どんな手をつかってでもいい。金でも権力でも…肉体でも…。兎の身も心も我がものにしなさい。そして利用しなさい。アベル家の勝利のために』