ブラッディ アリス
「自分で歩けるわっ」
少し顔を赤らめたアリスは、ラビの胸元を突き放そうとする。
「…ダメですよ。…フラフラなのは、見てましたから」
ラビは力強くアリスの体を自分に引き寄せ、スタスタと歩き出した。
「………チッ…」
顔を伏せて舌打ちをしたアリス…。
寝込みを襲われた自分の愚かさと、女の力では男に敵わないと理解する悔しさが、一気に込み上げてくる。
「……可愛らしいお方ですね…。…負けず嫌い…ですか?」
ラビは柔らかく微笑み、フッと笑った。
「馬鹿にしないでっ!」
「してませんよ。私は一目見たときから…あなたのことを愛おしく想っています…。こんな格好でいられたら、いつまで理性が…もつか…」
ラビはじっくりとアリスの下着姿を見ながら、階段を上っていく。
「それが馬鹿にしてるっていうの。……意味がわからない。あなたは何者?ナナリに何をしたの?母様との関係は…?」
「書斎はどこですか?」
「…ちょっと…質問に答えてよ!」
アリスは再びラビの胸倉をぐっと掴み、ラビの顔を見上げた。