ブラッディ アリス


ラビは少し呆れたように、微かなため息をつく。

「……場所を教えていただけないなら……ずっとこのままですよ…?」

そう告げたラビは、さらに強く、アリスの体を自分へと引き寄せた。

「………」

アリスはラビのシャツから手を離し、廊下の先に向かって指を差す。

「………そこの…両開きの扉が書斎…。その奥の扉にベッドがあるわ…」

「……あの扉…ですね…」

明らかに不機嫌そうな顔のアリスを見下ろし、ラビがクスクスと笑う。


「…殺してやる…」

ボソッと呟いた少女の一言に対し、余裕の笑みを浮かべる兎…。



「…できるものなら…いつでも…どうぞ」


「…えっ?!…」


ラビはにっこりと笑顔を返すと、アリスを左肩に担ぎ上げ、右手で扉のドアノブを握った。


「お…っ…おろしなさい!」

ラビの背中をバシバシと叩くアリス。

「暴れないでください。…もうすぐベッドですから」

降りようとするアリスを抱えながら、ラビはゆっくりと扉を開けた。















< 602 / 657 >

この作品をシェア

pagetop