ブラッディ アリス
部屋に入ると、視界には大きな窓が飛び込む。
右側の壁には高価そうな本棚にびっしりと本が敷き詰められ、その横に1メートルくらいの高さの食器棚、その上にはテレビが設置されていた。
左側にはダブルサイズのベッドが一つ…。
「ここは、仮眠室のようなものですか?」
ラビはそのままの態勢でアリスをベッドのところまで運び、ゆっくりとアリスの体をベッドの上に寝かせた。
「…そう…。お父様は…よく使っていらしたわ…」
「…へぇ…」
興味深そうに部屋を見渡し、ラビは廊下の方へと歩き出した。
アリスは一瞬ものすごく痛んだ傷を右手で押さえ、ラビの後ろ姿を目で追う。
「…手当てのための準備をしてきます。…下にあるタオル…使っても良いですか?」
ラビは部屋を出る直前で振り返り、アリスの右手に目を向けた。
「…かまわないけど…。……逃げないでよね…」
挑むような目つきで自分を見つめるアリスに、ラビはただ優しく微笑み返す。
「私を少しは信用してください」