ブラッディ アリス
Ⅲ
「お目覚めですか?アリス様」
気づけば隣には、少女の顔を覗き込む兎がいた。
「…あっ!……私…寝て…!」
アリスは慌てて起き上がると、左側に何か違和感を感じ、とっさに左腕を確認した。
「……血が…無い…」
先ほどまで真っ赤に染まっていた包帯が、綺麗な状態に戻っている。
「…あれ…?……え?」
そして、身に何も纏っていない自分に気がつく…。
「…腕は麻酔をかけ、縫合いたしました。…しばらくは何もせず、ゆっくりお休みになられてください。…下手に何かすると、傷跡が残ってしまいますから。…それと…血のついた下着は洗わせていただきましたよ。お部屋のシーツ等も洗いました…」
ラビは淡々と状況を説明し、アリスの体を強引に寝かせた後、ゆっくりとブランケットをかけた。
「…下着だけでも…と思ったのですが……衣裳部屋に入るのは、許可をいただいてから…と思いまして…」
アリスが質問するまでもなく、全て答えきったラビはにっこりと微笑む。
「……ふん…」
アリスは左腕を上にして右へ横向きになり、真っ白な肌のうなじをラビに見せた。