ブラッディ アリス
「さっさと話をつけておきたいの」
ラビがよそ見をしている間に、背後に回りこんだアリスは、ラビの背中に銃口をあてた…。
「…話…?」
ラビは微動だにせず、冷静に言葉を返す。
「…いくら母様の推薦だからって…雇うかは私の自由。…この場であなたを殺しても、『正当防衛』として、私はなんの罪にも問われないわ…」
「………」
「貴族が残酷なのはご存知?…財力と権力があるほど、歪んでいる人間が多いのが…貴族界…。だから…サタン・トロワなんて施設もできるの」
「……はい…」
「母様は、残酷な私を作り上げた。母様が、わざわざサタン・トロワにいた執事を私に与えた。…そこには意味がある…」
ラビの赤い瞳がゆっくりと移動する。
「……あなたなら…私を楽しませてくれる…。……私は遊び相手がほしいの…。苦しむ顔が見たい…痛がる顔が見たい…命を乞う顔が見たい…」
クスクスと笑いながら、アリスはラビの背中から拳銃を離した。
「あなたを雇ってあげるから…私にゲームを提供して。もちろん私も命がけのね…」