ブラッディ アリス
「…まぁ…一般の貴族家のご息女なら…使うことはありませんよね…銃なんて…」
ラビは書類に記載されている『特技を披露するのに必要なものがあれば申請してください』という文章を2回読み直した。
「ローズアート…これは…」
ラビは書類からアリスへと目線を移す。
「毎年いろいろな作品が発表されるのよね。『薔薇を使った独創芸術作品』…。二日間が制作期間で、次の日に発表だったかしら?」
「…そうですね…。何か考えてはあるんですか?」
「……まぁ……発表作品なんかを見てきて…作りたいと思うものはあったわ…」
裸体で寝そべるアリスこそ芸術作品の人形のようで、ラビは少しの間アリスから目が離せなかった。
「…よし……それじゃ…ラビには料理のレシピでも考えてもらおうかしら…」
エステを終えたアリスはガウンを羽織り、エステベッドからゆっくりと下りる。
「イザベラ様によろしくお伝えくださいませ」
アリスはヴァイオリア家から派遣されたエステティシャン三人に、用意していたチップを渡した。
「ラビ…お願いね」
「はい」
ラビとエステティシャンたちはアリスに一礼をし、部屋を後にする。
一人になったアリスは、ラビが広げたコンテストの資料を眺めた。
「……メイフリーク……百年間…いばらに閉ざされていた城…」