ブラッディ アリス
大きな屋敷の前では大勢の召使いたちがズラリと並び、アリスの乗った車を出迎えた。
「ようこそいらっしゃいました!…お初にお目にかかります!メイフリーク伯爵家当主…ゲルニカと申します!」
アリスが車から降りるなり、痩せ細った白髪の男性が両腕を広げ、丁寧に一礼をした。
「…初めまして…。アベル家当主、アリス・アベルです…」
ゲルニカの異様なテンションの高さに内心引き気味のアリスだったが、普段どおり微笑みかけ挨拶を返す。
「やはり…素晴らしくお綺麗な……いや…お写真は拝見いたしましたけれども…これほどまでにお美しいとは…」
周りから見たゲルニカは、アリスに対し少し緊張しているようだった…。
「コンテストに参加していただくお嬢様方はすでに全員お揃いでございまして…客間にてお寛ぎいただいております…。…い…今…アベル公爵様のお部屋にご案内させていただきますので……」
「伯爵…そんなに緊張しなくてもいいんじゃないかしら?」
見かねたイザベラがフォローに入る。
「あ、いえ!緊張など……っ…いや…申し訳ございません…」
「……?」
緊張している…というよりも、何か怯えているような……そんな印象を受けたアリスとラビは、お互い目を合わせた。
「あまり社交界に顔を出してなかったから…ってことで許して?アリス。……そこのあなた!部屋まで案内してちょうだい」
イザベラは一人の召使いを指名し、ゲルニカを置いてスタスタと歩き出す。
「も…申し訳ございませんっ…」
ゲルニカは慌てて数名の召使いに指示をし、アリスたちを誘導させた。