ブラッディ アリス
アリスはローラに向かって、屈託のない笑顔を見せる。
『稀に見る…可憐で純粋で天使のような美少女』。
大概の人々は、アリスの第一印象に対しそんなイメージを持ってしまう。
ローラの胸が熱くなり、頬が赤くなっていく。
「…こ…光栄にございます…!…こんな私でよろしければ…なんなりとお申し付けくださいませ…」
「…ありがとう…!…嬉しいですわ。よろしくお願いいたしますわ!」
アリスはローラの右手を両手できゅっと握り、再び笑顔を見せた。
「……飼うの?…あの子」
ローラが部屋を出て行った後、イザベラが呆れ顔でアリスを見る。
「…『飼う』…だなんて…。私はその辺の低俗貴族とは違いますわ」
アリスはイザベラに対しても満面の笑みを返すと、残りの小切手とペンをラビに返した。
「……ま、好きにしなさい。闘うのはアリスだもの。…とりあえず、うちのサロンの人間が後で来るから、明日からのヘアメイクとかは任せなさいね」
イザベラは微笑んで、アリスの頭を優しく撫でる。
自分の娘と4歳しか離れていないアリスのことを、昔から妹のように可愛がっているのだ。
「あぁ…大丈夫ですわ。ラビがいますもの」
「え?」
イザベラは思わずラビを凝視する。
「ご心配には及びません…イザベラ様。私一人の力で、アリス様を必ず勝利に導いてみせますよ」