ブラッディ アリス



「…失礼だったかしら…」


イザベラがいなくなった後、アリスはソファーに腰掛け、ポツリと呟いた。


「……いや…お断りして正解でしたよ。…無関係の人間がそばにいては、何もできませんからね」

ラビはそう言いながら、棚の上や壁などをゴソゴソと探り始めた。

「…?……何をしているの?…何かあるの?」

アリスは何かを調べているラビに近づく。

「増築……怪しいと思いませんか?……この屋敷は見たところ、古城を改築し屋敷にしたようです」

花瓶、絵画、食器、石像…。

ありとあらゆるものを念入りに隅々までチェックするラビ…。

「たしかに…。見た目はお城って感じよね…。アリエス城なんかより全然小さいけど」

アリスは壁に飾られた女性が描かれた絵画をじっと見つめる。

「…ゲスト12人…と、その関係者。たしかに大人数ですが…わざわざこんなに広い部屋を増築する必要があるでしょうか…?」

「………」

アリスは目線をラビに移し、目を細めた。

「…わかった…。…あったわ…。…この絵画の女の右目……」

「さすがアリス様ですね」

ラビはにっこりと微笑むと、キャンドルに仕込まれた小さなカメラをアリスに見せた。


どうやらこの部屋には無数のカメラが仕込まれているらしい…。






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