ブラッディ アリス
Ⅲ
…ピッ…
「…よし」
アミとの電話を終え、イザベラは一息つく。
「…こちらでございましたか…ヴァイオリア公爵…」
「…誰っ?!…」
背後からの声を聞き、慌てて振り返るイザベラ…。
そこにはにっこりと微笑んだゲルニカが立っていた。
「…メイフリーク伯爵…!」
「コンテストについての最終確認をしていただきたく…お捜しいたしましたよ…」
「そう……私も今あなたの部屋へ向かうところだったの…」
「…そうでございましたか……では参りましょう…」
ゲルニカはイザベラの横を通り過ぎ、イザベラの前をスタスタと歩き始める。
「…待って…伯爵…。聞きたいことが…」
「ええ。わかっております。私も、改めてお話したいことがございます」
ゲルニカは足を止めることなく、そう言いながら廊下の角を曲がって行ってしまった。
「………」
ゲルニカの態度に少し不快感を感じつつも、イザベラは気持ちを抑えて後に続いた。