ブラッディ アリス
ゲルニカの書斎の横に用意された応接間…。
そこに案内されたイザベラは、入るなり大きな窓の外を眺めた。
「…ホント…薔薇だらけね…」
窓から見えるのはメイフリーク邸自慢のテラス…。
さまざまな種類の薔薇が無数に育ち、大きな噴水や広々とした芝生の空間が整備されている。
今回の『エンジェルローズコンテスト』は、主にこのテラスを会場として使う予定である。
「お掛けください。公爵」
書斎から何やら書類を持ってきたゲルニカは、室内にいた召使いに何かを囁いた。
「……ねぇ…さっきあの黒いマントの人とすれ違ったの。…あれは何者なの?」
イザベラの目線の先、テラスの中を堂々と進んでいく…先ほど出会った怪しい黒いマントの人間。
「…実はですね…ヴァイオリア公爵……コンテストには、我が娘…ローズも特別枠で参加いたします」
「…そう…それよりあの黒いやつ………はっ?…今なんて…?」
慌ててゲルニカへと目線を移すイザベラ。
「ご紹介いたします。…娘の…ローズ・シャレンビア・メイフリークでございます」
ゲルニカの左手の先…部屋の扉の前で微笑み立っている一人の少女…。
「お初にお目にかかりますわ。イザベラ様…」