ブラッディ アリス






「おまたせ」



客間に着いたアリスは、待っていた二人に笑顔を見せた。


「とくに…何もなかったみたいだな」
カイルが安心したようにアリスを見つめる。

「でも、予想通り…だったわ」
アリスはそう言うと、残念そうな感じで笑う。

「…とりあえず…処刑場に行こう…」
ラビはそう言うと、アリスの頭を軽く撫でて窓の外を見た。



処刑場から聞こえる…鈍い鐘の音が神殿内に響く…。


三人は神殿の入り口から外に出て、処刑台を囲む人の群れから少し離れた場所で、その様子を眺めた。

鐘の音が止み、静まり返った広場にはマスコミのシャッター音だけが聞こえる。

処刑台の上に用意されていた鉄の板で囲まれる一畳ほどの空間には、すでにシャルル夫人の姿があった。


「火刑…なのね…」
アリスが息を飲む。

「…火刑…?…初めて見るけど、あんな鉄の板で囲まれたところで…どうするんだ?」
カイルが不思議そうに処刑台の上を見つめる。

「あれは1年前に発表された最新式の火刑法だよ。主流なのは木板に人を括り付けて燃やす…『火あぶりの刑』だけど、その方法だと焼け跡に残った骨が見つけにくい…ってことで、開発された」
カイルの横でラビが呆れたように説明した。

「発表されたときのニュース…見てないの?仮にも王子のくせに」
アリスが冷めた表情でカイルを見る。

「…1年前…か…。たぶんそんな暇なかったな…。…で、どうなるんだ?」
















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