ブラッディ アリス
ⅩⅢ
「カイル!」
客間を出たアリスとラビは、食堂にいるカイルのもとに行った。
「…行くのか?」
優雅にお茶を楽しんでいたカイルはティーカップをゆっくり置く。
「…行くわ。…まぁ死なない程度に、遊んでくるから…。カイルはこっちをお願いね」
「わかってるよ」
カイルはそう言うと、皿の上に盛ってあるラビの切ったリンゴを一口かじった。
そうして、アリスとラビは裏口から屋敷の裏の森に出る。
「昔はよくこうやって、キオネとはしゃぎながら森小屋へ向かったわ…。ふふ」
久しぶりに吸う森の空気を懐かしむように、アリスは木々の間から差し込む陽の光を眺めた。
「…アリス…。相手を呼び出すということは、あちらの準備も整っているということだ」
ラビの赤い瞳に映る、幼い少女のように無邪気に笑うアリスの姿。
「わかってるわ。だからラビがいるんでしょう?」
サクサクと草を踏みしめながら、アリスは遠くに小さく見える森小屋へと足を運ぶ。