ブラッディ アリス
「どうぞ、お掛けになって」
キオネが指図をすると、一人の男がキオネの目の前にある椅子にアリスを座らせた。
「…」
アリスもラビも、とくに抵抗する様子はない。
「…今…申しましたとおり、こちらの七人は私の執事ですわ。紹介するのは初めて…ですわね?」
小屋の中には、七人の美形で若い男たち…。
面食いなキオネが、いかにも選びそうな面々だ。
「…ご挨拶なさい。ディル」
ドスッ…!
キオネがそう言った後、ラビを掴んでいた男のうちの一人が、ラビの腹部を膝で蹴った。
「…うぐっ…」
「ラビ…!」
慌てて立ち上がろうとするアリスだったが、横に張り付いた男が押さえつける。
「ふふふ…。いけませんわ…アリス。ちゃんと私だけを見てくださいませ」
楽しそうなキオネにだんだんと怒りが増すアリスは、なんとかこの状況をどうにかできないかと部屋の隅々に目を動かす。
「無駄ですわ。アリス。あなたはここで死ぬ運命なの。逃げようなんて考えないことね」