ブラッディ アリス
「だから」
笑っていたアリスの顔が、一気に冷めた表情になる。
「だから死ぬのはあなたの方よ。キオネ」
「…ふふ……あははははははっ…!」
バシッ…!
アリスの一言に笑い出したキオネは、そのままアリスの頬を思い切り叩いた。
「さすが恵まれたお嬢様!この状況で何を言っているのかしら?!」
アリスの頬が赤くなっていく…。
おとなしくしていたラビも、さすがに体が前に出ようとする。
しかし、両腕をそれぞれ掴まれている状態。
すぐに引き戻されてしまった。
「動いたら、撃ちますよ」
さきほど自分を蹴った方とは別の男が、拳銃をラビの頭に突きつける。
「…本当…昔から…あなたは幸せな方ですわね…」
キオネは自分の席に戻ると、遠い目でアリスを眺める。
「容姿端麗、頭も良くて、たくさんの資格や賞をお取りになって…。アベル家に生まれた以上…周りから敬われる立場であって…。自然に人望も厚く、多くの男達があなたに媚を売る…」
アリスを羨むように、おっとりとした表情で語るキオネ。
「生まれた時から両親に愛されて…こんなに素敵な執事がそばにいて…その上カイル王子の愛人なんて……」
「憎い?キオネお嬢様」
アリスはニヤリと笑ってキオネを挑発する。