ブラッディ アリス
ⅩⅣ
…数十分前…森小屋から出たキオネは、慌てて屋敷に向かっていた。
「カイルが一緒じゃなかった…!じゃあ…さっきの『始末』って…まさか?!」
その頃カイルは、一人退屈そうにケータイをいじる。
「…やっぱ…アリスのケータイ壊された…か」
アリスのケータイに電話をかけてみるが、繋がらない。
「…大丈夫…だよな…。ラビがいるし…」
…バンッ!!
カイルが呟いた瞬間、食堂の扉が大きく開いた。
「カイル!!」
「…キオネ…?」
屋敷に戻ったキオネは、息切れをしながらまっすぐにカイルの元へとやってくる。
「ご…ご無事でしたのね…。良かった…」
カイルを後ろから抱きしめるキオネ。
「無事…?あれ?アリスは?」
カイルは不思議そうに扉の方を見る。
「…アリス…は…来てませんわ…。私…森小屋でずっと待ってましたのよ…」
「じゃあ…どこに…?」
自分の肩に顔を埋めるキオネを、冷静な表情で見つめるカイル。
「私…私…こわくなって…何かあったんじゃないかと思って…慌てて戻ってきましたの…。窓からカイルが見えて…それで…」
キオネは呼吸を整えながら、ゆっくりとカイルの隣に座った。