ブラッディ アリス



ここにキオネがいるということは、アリスの読み通り…森小屋に別の人間がいるって事だ。
そして予定通り、キオネが自由に動ける…つまり…相手は複数の可能性が高い。

早めにこっちを済ませて…行くしかないな…。



一瞬の考えが、カイルの頭を巡った。


「大丈夫?キオネ…」
カイルは心配そうな顔をしてキオネの頭を撫でる。

「カイル…」
キオネは大きな瞳を潤ませて、ゆっくりとカイルの手を握る。

「アリスは大丈夫だと思うよ。ラビがいるし。森小屋って遠いの?迷ってるだけなんじゃないかな?」


優しい笑顔、優しい言葉、優しい仕草…。

キオネの中で、カイルへの想いがさらに大きく醜く変わる。


「そう…ですわね…。もう少ししたら…また森小屋に行ってみますわ…。それより今は、あなたの隣で安心していたいの…」

カイルの手のひらに、そっと口付けるキオネ。




「私、カイルが好きです。ずっと…一緒にいたい…」





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