ブラッディ アリス
そのとき、森の中で響いていた銃声…二人には聞こえるはずもなかった。
見つめ合う二人…。
それぞれの胸に秘められた計画。
命奪うのは、どちらが先か。
「キオネ…」
「…や…、ごめんなさい。何を言ってるのでしょう…私」
キオネはそう言うと、カイルの手を離した。
「私、お茶を入れてまいりますわ。美味しいアップルティーがありますのよ」
その言葉に、カイルは一瞬厨房への入り口を見る。
「キオネ…待って。僕…君のために用意した物があるんだ」
カイルはキオネより先に立ち上がると、早足で厨房へ向かう。
「…?」
キオネは服のポケットに隠してあった媚薬を手で握りながら、微かな舌打ちをした。